建築施工管理技士とは 建築施工管理技士とは建築のエキスパート!
建築施工管理技士とは、施工管理技士国家資格のうちの1つで、建築現場で監督を行うのが仕事です。
建築工事は、数多くの専門工事から成り立っています。
専門工事業者は、個々の仕事に特化しているため、他工事の工程、関係性など十分な知識や理解がありません。
これらをまとめる仕事が「施工管理」であり、施工管理を行う人物が「施工管理技士」です。
つまり、建築施工管理技士とは「建築のエキスパート」になるために必要な資格となります。
仕事内容について 建築施工管理技士の仕事は大きく分けて4つ!
建築施工管理技士は、決められた工程内に建物の品質が確保されるよう施工管理を行います。
依頼主や設計者との打ち合わせ、各施工図のチェック、工程管理、各工事の技術的指導などこれら4つが主な仕事内容です。
01
施工計画
建設工事が設計図通りに、予算内に安全に行うための工法を計画します。
主に以下を計画します。
- 工事に関わる工事業者の選定
- 着工前に工事の内容の伝達
- 工事現場や周辺状況の調査・把握
- 解体など現場で発生する資材の抑制・再利用の計画
- 廃棄物の運搬場所の選定
この他にも建設工事内容により異なってくることもありますが、最善の方法で工事が進められるよう計画を立てます。
02
工程管理
建設工事が予定通り進行できるように管理します。
建設工事の開始から完了までの内容を把握し、工事に関わる専門工事業者のスケジュールを作成します。
また、円滑に建設工事を進めるために必要な資材の発注管理も行います。
場合によっては千人規模の専門工事業者を束得る場合もあり、それが出切るのは高度な専門知識を持つ建築施工管理技士だからできる仕事といえるでしょう。
03
安全管理
建設現場で作業員や周辺の人々の事故や怪我を防ぐために安全管理を行います。
主に以下の安全管理を行っています。
- 作業員への安全教育
- 書類提出による健康管理
- 工事における危険予知
- 周辺の安全パトロール
- 使用する機材の安全性の確認
建築施工管理技士が常に安全を管理しているため、作業員は安心して仕事を集中して進めることができます。
04
品質管理
依頼主が求めるのは、設計図通りの建築物が完成することなので、現場が設計図通りに出来上がるように管理することも建築施工管理技士の重要な仕事です。
建設現場における品質管理とは、設計図で指示された内容を満たすことを指しています。
予算に応じて材料や、仕上げの程度、性能、精度等の目標を計画し、実行しています。
万が一設計図の指示通りに進めることが不可能な場合は、依頼主と設計者に相談し、他の方法を検討することもあります。
建設工事では、たくさんの作業員が関わり1つの建物を完成させます。
そのため、作業員のみではなく周辺の人々と良好な関係を保つことも、順調に工事を進めるために必要な技術とされています。
違いについて 建築施工管理技士の1級と2級の違い
建築施工管理技士の種類は「1級」「2級」と分かれています。
どちらも仕事内容は同じですが、「管理できる現場の規模」が異なります。
1級建築施工管理技士とは
1級建築施工管理技士は、全建設工事の施工管理が可能な資格です。
建設工事には、建築一式工事、大工工事、左官工事など全部で16種類あります。
これらの工事を管理する高度な知識を有する技術者で、施工技術の指導を行う立場にあります。
なお、特定建設業7業種(建築・土木・鋼構造物・舗装・管工事・電気工事・造園工事)の「専任の技術者」および現場に置く「監理技術者」は、「1級施工管理技士」などの国家士資格者に限られます。
つまり、1級建築施工管理技士は、大規模な建築工事の施工管理を行うことが可能です。
2級建築施工管理技士とは
2級建築施工管理技士は、1級に比べて管理可能な建設工事が少なくなります。
また2級建築管理技士は、「建築」「躯体」「仕上げ」の3種別に分かれており、それぞれ管理可能な工事種類が異なります。
また一般建設業の許可に必要な「営業所の専任の技術者」「主任技術者」は、2級建築施工管理技士保有者が認められています。
2級建築管理技士は、1級建築管理技士に比べて比較的小規模な工事管理が可能な資格となります。
一次と二次とは? 建築施工管理技士の受験方式
施工管理技士の試験は1級・2級ともに「第一次検定」と「第二次検定」の二段階に分かれています(2020年度まではそれぞれ「学科試験」と「実地試験」の名称で実施)。
両方に合格することで、資格の取得となります。
第一次検定は四肢択一形式が基本で、選択肢の中から正答を1つを選び解答をします。
ただし、応用能力問題では1問につき2つの解答を選択する必要があります。
一方、第二次検定は記述式で解答をする必要がありますので、文章力も必要となります。
なお第一次検定に合格すると、建築施工管理技士補の資格がえられます。
建設業界の深刻な人手不足を少しでも解消するために、新たに設けられた資格になります。
1級の施工管理技士補を取得すると、監理技術者の補佐として従事することが可能になります。2級の施工管理技士補は実務的な役割はありませんが、転職に有利になることはあるので、取得価値は十分にあると言えます。
1級建築施工管理技士の受験概要
1級建築施工管理技士では、第一次検定と第二次検定でそれぞれ別の受験資格があります。
さらに、令和6年度(2024年度)実施の試験から建築施工管理技士の受験資格が変更になりました。ただし、制度変更期間として、令和10年度までは従来の受験資格でも受験が可能です。
ここでは、両方の受験資格を紹介します。
<新制度>1級建築施工管理技士 第一次検定の受験資格
新制度では、1級建築施工管理技士の受験資格が年齢制限のみとなり、より受験がしやすくなりました。
必要条件 |
---|
試験実施年度に満19歳以上となる者 |
<新制度>1級建築施工管理技士 第二次検定の受験資格
新制度・旧制度ともに第二次検定では実務経験が必要です。新制度の第二次検定の受験資格は以下のとおりです。
必要条件(①〜④のうち、いずれかの条件を満たす必要があります) |
---|
① 1級一次検定合格者 ・1級建築第一次検定合格後、実務経験5年以上 ・1級建築第一次検定合格後、特定実務経験1年以上を含む実務経験を3年以上 ・1級建築第一次検定合格後、監理技術者補佐の実務経験1年以上 ② 1級第一次検定、および2級第二次検定合格者 ・2級建築第二次検定合格後、実務経験5年以上 ・2級建築第二次検定合格後、特定実務経験1年以上を含む実務経験を3年以上 ③ 1級第一次検定受検予定、および2級第二次検定合格者 ・2級建築第二次検定合格後、実務経験5年以上 ・2級建築第二次検定合格後、特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上 ④ 一級建築士試験合格者 ・一級建築士試験合格後、実務経験5年以上 ・一級建築士試験合格後、特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上 |
なお、上記の表内にある特定実務経験とは、建設業法の適用を受ける請負金額4,500万円(建築一式工事については7,000万円)以上の建設工事であり、監理技術者や主任技術者(いずれも実務経験対象となる建設工事の種類に対応した監理技術者資格者証を有する者に限る)の指導の下、または自ら監理技術者若しくは主任技術者として行った施工管理の実務経験を指します。
<旧制度>1級建築施工管理技士 第一次検定の受験資格
旧制度では学歴や所持している資格で細かく定められているので、下記の表で確認をしてください。
区分 | 学歴又は資格 | 実務経験年数 | ||
---|---|---|---|---|
指定学科 | 指定学科以外 | |||
イ | 大学、専門学校の「高度専門士」 | 卒業後 3年以上 | 卒業後 4年6ヶ月以上 | |
短期大学、高等専門学校(5年制)、専門学校の「専門士」 | 卒業後 5年以上 | 卒業後 7年6ヶ月以上 | ||
高等学校、中等教育学校(中高一貫校)、専門学校の専門課程 | 卒業後 10年以上※1・2 | 卒業後 11年6ヶ月以上 ※2 | ||
その他(学歴問わず) | 15年以上 ※2 | |||
ロ | 二級建築士試験合格者 | 合格後 5年以上 | ||
ハ | 2級建築施工管理技術検定第二次検定※合格者 (※令和2年度までは実地試験) |
合格後 5年以上 ※1・2 | ||
2級建築施工管理技術検定 第二次検定※合格後 実務経験が5年未満の者 (※令和2年度までは実地試験) |
短期大学 高等専門学校(5年制) 専門学校「専門士」 |
上記イの区分参照 | 卒業後 9年以上※2 | |
高等学校 中等教育学校(中高一貫校) 専門学校の専門課程 |
卒業後 9年以上 ※2 | 卒業後 10年6ヶ月以上 ※2 | ||
その他 (学歴問わず) | 14年以上 ※2 | |||
ニ | 【注】区分ニの受験資格は、第一次検定のみ受験可能です。この区分で受験申請した場合、第一次検定合格後、令和度の第二次検定を受験することができません。 | |||
2級建築施工管理技術検定第二次検定※合格者 (※令和2年度までは実地試験) |
実務経験年数は問わず |
<旧制度>1級建築施工管理技士 第二次検定の受験資格
下記のいずれかに該当する方が受検申込可能です。
- 建築士法による一級建築士試験合格者で、上記の区分イ~ハのいずれかの受検資格を有する者
- 令和3年度以降の1級建築施工管理技術検定第一次検定合格者のうち、上記の区分イ~ハのいずれかの受検資格で受検した者
- 令和3年度以降の1級建築施工管理技術検定第一次検定合格者のうち、上記の区分ニの受検資格で受検した者で、上記の区分イ~ハのいずれかの受検資格を有する者
- 本年度第一次検定の合格者【上記の区分イ~ハの受検資格で受検した者に限る】
2級建築施工管理技士の受験資格
2級建築施工管理技士では、第一次検定と第二次検定でそれぞれ別の受験資格があります。2級建築施工管理技士でも令和6年度から受験資格が変更となっておりますが、変更されたのは二次試験の受験資格のみとなっています。こちらも令和10年度の試験まで受験資格が併用されることになっています。
なお2級の場合は1級とは違い、第一次検定と第二次検定を同日に受験することが可能です。もちろん第一次検定のみ、第二次検定のみでも受験が可能です。
2級建築施工管理技士 第一次検定の受験資格
2級の場合は、新制度・旧制度ともに受験資格は年齢制限のみとなっています。
必要条件 |
---|
試験実施年度に満17歳以上となる者 |
<新制度>1級建築施工管理技士 第二次検定の受験資格
2級でも新制度・旧制度ともに第二次検定では実務経験が必要です。新制度の第二次検定の受験資格は以下のとおりです。
必要条件(以下のいずれかを満たす必要があります) |
---|
・2級建築施工管理技術検定 第一次検定合格後、実務経験3年以上 ・1級建築施工管理技術検定 第一次検定合格後、実務経験1年以上 ・一級建築士試験合格後、実務経験1年以上 |
1級と同様に試験合格後の実務経験年数が問われるようになっています。
<旧制度>(1)第一次・第二次検定(同日に受験をする場合)
下表の区分イ〜ハのいずれか一つに該当する方が申込可能です。
区分 | 受験種別 | 最終学歴 | 実務経験年数 | |
---|---|---|---|---|
指定学科卒業 | 指定学科以外卒業 | |||
イ | 建築又は 躯体又は 仕上げ |
大学 専門学校の「高度専門士」 |
卒業後 1年以上 | 卒業後 1年6ヶ月以上 |
短期大学 5年制高等専門学校 専門学校の「専門士」 |
卒業後 1年以上 | 卒業後 1年6ヶ月以上 | ||
高等学校 専門学校の「専門課程」 |
卒業後 1年以上 | 卒業後 1年6ヶ月以上 | ||
その他(最終学歴問わず) | 8年以上 |
区分 | 受験種別 | 職業能力開発促進法による技能検定合格者 | 必要な実務経験年数 | |
---|---|---|---|---|
技能検定職種 | 級別 | |||
ロ | 躯体 | 鉄工(構造物鉄工作業)、とび、ブロック建築、型枠施工、鉄筋施工(鉄筋組立て作業)、鉄筋組立て、コンクリート圧送施工、エーエルシーパネル施工 | 1級 | 問いません |
2級 | 4年以上 | |||
平成15年度以前に上記の検定職種に合格した者 | - | 問いません | ||
単一等級エーエルシーパネル施工 | - | 問いません | ||
ハ | 仕上げ | 建築板金(内外装板金作業)、石材施工(石張り作業)、石工(石張り作業)、建築大工、左官、タイル張り、畳製作、防水施工、内装仕上げ施工(プラスチック系床仕上げ工事作業、カーペット系床仕上げ工事作業、銅製下地工事作業、ボード仕上げ工事作業), 床仕上げ施工、天井仕上げ施工、スレート施工、熱絶縁施工、カーテンウォール施工、サッシ施工、ガラス施工、表層(壁装作業)、塗装(建築塗装作業)、れんが積み | 1級 | 問いません |
2級 | 4年以上 | |||
平成15年度以前に上記の検定職種に合格した者 | - | 問いません | ||
単一等級れんが積み | - | 問いません |
(2)第二次検定のみ
次にあげる[1]〜[3]のいずれかに該当し「第一次・第二次検定(同日受検)」の受検資格を有する者は、第二次検定のみ受検申込が可能です。
- 建築士法による一級建築士試験の合格者
- (令和2年度までの)2級建築施工管理技術検定試験の「学科試験のみ」受検の合格者で有効期間内の者
- (令和3年度以降の)2級建築施工管理技術検定の「第一次検定」合格者
2級よりも格段に難しい 1級建築施工管理技士の合格率
1級建築施工管理技士の試験は当然ながら2級よりも格段に難しくなります。
その理由は出題範囲の広さです。
1級建築施工管理技士試験では、建築工事全般の幅広い知識が必要となり、自分が携わってきた工事以外の知識も身につける必要があります。一次ではマークシート式となり、二次試験では記述式の試験となります。
1級一次合格率平均データ
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1級建築
施工管理技士
一次検定の
過去5年の合格率
年度 | 総受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年度 | 24,078 | 10,017 | 41.6% |
2022年度 | 27,253 | 12,755 | 46.8% |
2021年度 | 22,277 | 8,025 | 36.0% |
2020年度 | 22,742 | 11,619 | 51.1% |
2019年度 | 25,392 | 10,837 | 42.7% |
1級二次合格率平均データ
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1級建築
施工管理技士
二次検定の
過去5年の合格率
年度 | 総受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2022年度 | 14,391 | 6,554 | 45.5% |
2022年度 | 13,010 | 5,878 | 45.2% |
2021年度 | 12,813 | 6,708 | 52.4% |
2020年度 | 16,946 | 6,898 | 40.7% |
2019年度 | 15,876 | 7,378 | 46.5% |
合格ラインは正解率60%以上 2級建築施工管理技士の合格率
2級建築施工管理技士の試験の合格率は、以下のグラフの通りです。
他の国家試験と比較すると、高い合格率で推移をしていると言えます。
その理由としては、講習会も豊富で対策がしやすいという点にあります。
しかし、二次試験は全問記述方式で回答しなくてはならないので、一次試験より難易度が上がりますのでその点は注意が必要です。
2級一次合格率平均データ
【円グラフ】ソースコードでご覧ください。上のdata-valueの値を変えてお使いください*小数点は使用不可です。この文は実際の画面では表示されません。
2級建築
施工管理技士
一次検定の
過去5年の合格率
年度 | 総受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年度 | 27,116 | 13,387 |
49.4% |
2022年度 | 27,004 | 11,421 | 42.3% |
2021年度 | 32,128 | 15,736 | 49.0% |
2020年度 | 32,468 | 11,366 | 35.0% |
2019年度 | 28,718 | 9,083 | 31.6% |
2級二次合格率平均データ
【円グラフ】ソースコードでご覧ください。上のdata-valueの値を変えてお使いください*小数点は使用不可です。この文は実際の画面では表示されません。
2級建築
施工管理技士
二次検定の
過去5年の合格率
年度 | 総受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年度 | 21,859 | 6,999 | 32.0% |
2022年度 | 14,909 | 7,924 | 53.1% |
2021年度 | 23,380 | 8,205 | 35.1% |
2020年度 | 23,116 | 6,514 | 28.2% |
2019年度 | 22,663 | 6,134 | 27.1% |
将来性 建設業界は人材不足のため、関連業界への就職・転職は有利!
建設業界では建築施工管理技士が不足しており、どの会社でも常に建築施工管理技士を求めています。
建築施工管理技士を取得すると、就職・転職は有利であることは明白です。
また、有資格者の保有率の高い団塊世代の退職が相次いだことにより、有資格者不足が加速しており、特に1級建築施工管理技士の需要はますます高まっていくでしょう。
独立に必要な条件なし!フリーランスで活動することも可能!
大抵フリーランスとしての現場監督は、建設会社と期間契約を締結して働くことになります。
そのため「プロジェクト期間内だけの社員」といった働き方となります。
建設業法の関係で、会社に雇用されていない人は以下のような成約があります。
- 主任技術者、現場代理人になれない
- 公共工事の仕事ができない
そのため、公共工事の仕事を引き受けることが難しくなってきます。
そして、他の仕事を受注できたとしても新米監督がやるような雑務が多い仕事内容となってしまうことも少なくありません。
フリーの建築施工管理技士として活躍するには、
- 施工管理能力・資格
- コミュニケーション能力
が必要です。
自分自身が企業に求められる人材になることにより、質の良い仕事が受注できるようになってきます。
そのため、独立は実務経験と人脈を築いてから計画的に行うことをおすすめします。
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